はじめに
錦秋の候いかがお過ごしでしょうか。
すっかり涼しくなってまいりました。
いよいよ本格的な秋、食欲の秋ですね!
これからはお魚の美味しくなる季節です。
お魚と言えばお寿司、お寿司と言えば安く気楽に食べられる回転寿司!ですよね?
安い代償でしょうか、実は回転寿司には偽物の魚、代替魚が多く使われているこ
とをご存知でしょうか。
ということで今回は回転寿司で使われる代替魚についてご紹介します!
寿司の歴史
現代のいわゆる寿司である握り寿司は江戸時代後期に「与兵衛寿司」の華屋与兵
衛、もしくは安宅六軒堀松の寿司の堺屋松五郎によって考案されました。
当時は冷蔵技術が発達していませんでした。
ネタは酢で〆るか醤油漬けにするのが普通、醤油をつけなくても寿司自体に味がついていました。
現代でも江戸前鮨をウリにするお寿司屋さんでは醤油皿が用意されていませんよ
ね。
値段は現代の価値に換算して一貫80円から150円、高級ネタでも250円~4
50円くらいでした。
これを仕事帰りに少し“つまむ”のが当時の江戸の人にとって粋だったようです。
現代でいうファストフードの感覚だったようですね。
その後、1923年の関東大震災を機に握り寿司は全国に普及していきます。
太平洋戦争下では多くの規制が敷かれつつ、握り寿司は高級路線の寿司屋を中心に
現代まで残ってきました。
寿司と言えば高級なもの、と定着した寿司界隈に超新星が現れます。
それが1958年に大阪にオープンした廻る元禄寿司。
安くておいしい、庶民に近しい回転寿司は急速に拡大していきます。
業界最大手のスシローは全国に500店舗を超す勢いを得るようになり今日に至り
ます。
江戸のお手頃だった寿司が、現代になって回転寿司として帰ってきたのは原点回帰
なのかもしれません。
代替魚一覧
マグロ
赤マンボウが使用されています。
体重が230kgを超す深海魚です。
マンボウとついていますが、種類としてはマンボウでもありません。
クルマエビ
ウシエビもしくはブラックタイガーが使用されています。
とはいえ、どちらもクルマエビ科に属する近縁種です。
エンガワ(ヒラメ)
オヒョウが使用されています。
同じカレイ目ながら、オヒョウはカレイ科、ヒラメはヒラメ科に属するやや遠縁の
関係。
オヒョウも枯渇に伴い、近縁種のカラスガレイに移行しつつあります。
ちなみにエンガワは単なる部位名なので、ヒラメであってもオヒョウであってもエ
ンガワはどちらもあります。
シシャモ
カラフトシシャモ、カペリンが使用されています。
とはいえ、本物のシシャモを食べたことのある日本人はどれほどいるのでしょうか・・・。
日本の消費者は「子持ちシシャモ」を好むためにメスの消費とオスの投棄が続出
し、資源枯渇に拍車をかけています。
ムツ タラ
ギンダラが使用されています。
加工食品に適した万能魚とされているので、日本漁業関係者も北洋漁業の有料資源
として開発しようとしましたが、好漁場を抱えるアメリカ・カナダ・ロシアの締め
出しを受けて完全輸入を余儀なくされています。
アカガイ
サルボウガイが使用されています。
アカガイ属で近縁関係にあるものも、アカガイの半分程度の5cmしか成長しませ
ん。
マダイ
ティラピアです。
ただし、コピー元のマダイ養殖技術が躍進し、マダイ養殖が完全に軌道に乗ったこ
とを受け、ティラピアは国内から駆逐されつつあります。
マアナゴ
マルアナゴ(アンギーラ) が使用されています。
コピー元のマアナゴに比べ脂ぎった食味なため、逆に人気が出ています。
ロコガイが使用されています。
アワビと似ているため、違いが判る人間はほとんどいません。
代替魚って違法じゃないの?
結論から言うと違法ではありません。
あらゆる食品の表示について規定している食品表示法では原材料を一般名称で表示
することを義務づけています。
しかし、この基準は容器包装された加工食品に適用されるもので、飲食店で提供さ
れる商品には適用されません。
聞きたい人は、「店に直接聞けば分かる」というのが理屈らしいです。
不合理ですね。
納得はできません。
まとめ
回転寿司には偽物の魚を食べさせられても構わない、もしくは代替魚のことを全く
頭の中から消す、そういった意識で行くのがいいのかもしれません。
回転寿司が代替魚を利用しているのは、私たち消費者に知られていない魚を美味し
く食べてもらう優しさかもしれませんね。